安部 司 著:食品の裏側 より(一部抜粋)

    どう食品がつくられているか誰も知らない

本書には、食品添加物について知識がない人はもちろん、そこそこの知識のある人でも思わす驚愕するような内容が並んでいるはずです。

ほとんどの人は自分の食べている「食品」がどのようにつくられているか知りません。

普段コーヒーに入れているミルクが、水とサラダ油と添加物だけでできていることを知らない。サボテンに寄生する虫をすりつぶして染めた「健康飲料水」を飲んでいるとは思いもしない。「体のため」と買って食べているパックサラダが「殺菌剤」のプールで何度も何度も消毒されているのを知りようがない。

いま食べたミートボールが、大量の添加物を使って再生された廃棄寸前のクズ肉だということなど想像もできない。

毎日毎日、自分の体の中に入れる「食品」なのにもかかわらず、それがどうやってつくられていて、その「裏側」でどのような添加物がどれほど使われているのか、それについて私たちは何も知らないのです。

「一流メーカーがつくっているものだから大丈夫」「大手スーパーで売られているから、変なものであるはずがない」そう無邪気に信じて食べているのです。

 

    食品添加物の危険性だけを騒いでも意味がない

その一方、添加物の毒性に注目して、その危険性のみを取り沙汰する動きが一部にあります。

「ソルビン酸は危険だ」「合成着色料は発ガン性がある」「これは買ってはいけない」「あれは食べてはいけない」そのように添加物の毒性のみを声高に主張する動きです。 

残念ながら、添加物を扱った本は、そういった危険性を煽る本がほとんどで「これは比較的安全」「これは危険」といった「毒性レベル表」のようなものもよく掲載されています。−以下略

 

    ドロドロのクズ肉が30種類の添加物でミートボールに甦る

そのミートボールは、スーパーの特売用品として、あるメーカーから依頼されて開発したものでした。

発端はそのメーカーが「端肉」を安く大量に仕入れてきたことでした。端肉というのは、牛の骨から削り取る、肉とも言えない部分。 

現在ではペットフードに利用されているものです。このままではミンチにもならない、味もない。しかしとにかく「牛肉」であることには間違いない。しかも安い。

この「端肉」で何かつくれないか、と私に相談がきたのです。

元の状態では形はドロドロ。水っぽいし、味もなく、とても食べられたシロモノではありません。これを食べられるものにするにはどうしたらいいのか・・・そこが発想の出発点でした。

まず、安い廃鶏(卵を産まなくなった鶏)のミンチ肉を加え、さらに増量し、ソフト感を出すために「組織状大豆たんぱく」というものを加えます。これは「人造肉」とも言って、いまでも安いハンバーグなどには必ず使われています。

これでなんとかベースはできました。しかしこのままでは味がありませんから「ビーフエキス」「化学調味料」などを大量に使用して味をつけます。

歯ざわりを滑らかにするために「ラード」や「加工でんぷん」も投入。さらに「決着剤」「乳化剤」も入れます。機械で大量生産しますから、作業性よくするためです。

これに色をよくするために「着色料」保存性を上げるために「保存料」「PH調整剤」色あせを防ぐために「酸化防止剤」も使用。これでミートボール本体ができました。

これにソースとケチャップをからませれば出来上がりなのですが、このソースとケチャップもいわゆる「市販」のものは使いません。そんなことをしていたら、採算が合わず値段を安くできないからからです。  コストを抑えるために添加物を駆使して「それらしいもの」を作り上げるのです。

まず、氷酢酸を薄め、カラメルで黒くします。それに「化学調味料」を加えて「ソースもどき」を作るのです。

ケチャップの方はトマトペーストに「着色料」を加え「増粘多糖類」でとろみをつけ「ケチャップもどき」をつくりあげます。

このソースをミートボールにからめて真空パックにつめ、加熱殺菌すれば「商品」の完成です。

添加物は種類にして20〜30種類は使っているでしょう。

もはや「添加物のかたまり」と言っていいぐらいのものです。

本来なら産業廃棄物となるべきクズ肉を、添加物を大量に投入して「食品」に仕立て上げた、それがこのミートボールだったのです。

 

どうですか?驚きの内容ですよね。このミートボールは売値が1パック100円に対して原価は2、30円だそうです。発売した会社はこのミートボールでビルが建ったそうです。

この本には他にもいろいろな食品の作られる過程が書かれています。

多くの方におすすめしたい本です。

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